籠の鳥

遷宮から3ヶ月経つ

1月某日



念願のお伊勢参り



朝早くに着き

先ずは、外宮の正宮へ



神域は、

ふわりとした、清浄な空気


み前に立ち

豊受さまに相対する


外宮全域を包む息苦しさとは違う

穏やかな気配


まだ、眠っておられる?

気配の薄さに、拍子抜けする

これは、何?



今回のメインイベント

旧正宮の見学は、まだ時間前とのことで

しばし周辺のお社を参拝



再び、正宮へ

この時間になると、参拝客がかなり増え、

人の気配に息苦しさを覚えるほど



神域の清浄さは保たれ、

やっと息ができる


再び相対した豊受さまは、

先程より強い気配を放たれているが

しかし…



ご挨拶を済ませ、

旧正宮へ



こちらは、

遷宮から3ヶ月が経つとは思えないほどの、

圧倒的な気配


眩いほどの、神様の通り道


お渡りになられた道筋が、

ありありと分かるほどの、

キラキラした軌跡


やっと、私の神様に逢えた…


自然に笑みがこぼれる



足取りも軽く、

神様の通り道を辿り

二重の鳥居をくぐり抜けたところで

愕然とした


あれほどのキラキラした軌跡が

かき消されている


なぜ?



解らないまま、時間切れ

内宮へ移動



こちらは水の気配

内宮周辺を包み込み、

知らず深呼吸を繰り返していた


内宮は、どこもかしこも

穏やかな空気に包まれて

呼吸が楽にできる


しかし参拝客の多さに

人酔いしてしまう

そこは、境内の広さに救われた



正宮への参拝

天照さまに、相対する


水気を含む強い風をおこされ

辺りを祓ってくださる


清々しい気配に

心の凝りも、さらりと消してしまわれた

これで、いいのだろうか?



案内してくださった方は、

多分拍子抜けしていたことだろうと思う


私も、この神域で、

足取り軽くいられることが

不思議でならなかった



ずっと考えていた

これはどういうことだろうかと


神宮全体を包む重苦しさ

正宮の気配の薄さ

旧正宮の圧倒的な気配


神様を受け容れる

私の方が感覚が鈍っているのか


私の感覚が正しいのならば

これはどういうことなのか



結界


人間が作った神話


まさか


籠の鳥…



神様をこの地に留めておくための


結界



神様こそが

この地をお選びになられたことを記す


人間が作った神話



まさか



神様は、ここから出られない


籠の鳥